ガイドライン・提言

「胆道閉鎖症診療ガイドライン〈第2版)作成」について

胆道閉鎖症診療ガイドラインは、2013年に日本胆道閉鎖症研究会の中に安藤久實愛知県心身障害者コロニー総長(当時)を座長とする「胆道閉鎖症診断・治療ガイドライン作成委員会」が立ち上げられ、Minds(公益財団法人日本医療機能評価機構)の吉田雅博先生のご指導を頂いて2018年に完成しました。折から2015年に胆道閉鎖症は指定難病に取り上げられ、胆道閉鎖症は小児期から成人期に至るまで多くの診療領域、職種の連携により医療提供や成長の見守り、社会支援などを行なってゆくべき疾患として、広く認知されるようになりました。

初版ガイドライン作成から2年が経過した2020年12月5日の日本胆道閉鎖症研究会幹事会においてガイドライン改訂が承認され、初版作成時の統括委員を中心に、再びMindsの吉田雅博先生にもご参加頂いて、ガイドライン統括委員会が結成されました。ガイドライン改訂組織には初版の作成に関与したメンバーを中心に新たな若い人材が起用され、加えて患者代表にも参加をお願いし、日本小児外科学会、日本小児栄養消化器肝臓学会、日本小児放射線学会、日本肝移植学会、日本小児肝臓研究会など関連学術団体の協力も頂いて、2024年11月に改訂版(第2版)の発刊に漕ぎ着けました。改訂第2版ではMindsの最新版診療ガイドライン作成マニュアル 2020 ver.3.0に沿って、胆道閉鎖症に直接性の高い臨床課題を再度洗い出し、肝疾患に共通の事柄などは総説として解説し、利益相反の透明性、患者意向の取り入れ、医療経済的視点の組み入れなどにも留意して作成作業が行われました。その結果、クリニカルクエスチョンはじめ初版とはかなり趣きを異にする診療ガイドラインとなっています。このガイドラインが初版に引き続いて胆道閉鎖症診療の一助として患者、家族、医療者の助けになってくれることを切望しています。同時に胆道閉鎖症に関して基礎、臨床の研究はさらに進み、新たなエビデンスが蓄積されています。このガイドラインが今後も継続的に改訂され、新たな治験の啓発や治療の均てん化に役立ってくれることを願っています。

令和7年3月31日
日本胆道閉鎖症研究会胆道閉鎖症診療ガイドライン統括委員会委員長 黒田 達夫

*令和7年5月20日には(公財)日本医療機能評価機構 EBM医療情報部(Minds事務局)が運営する「Mindsガイドラインライブラリ」にて公開予定です。