日本胆道閉鎖症研究会は、長年にわたり胆道閉鎖症の基礎から臨床までの種々の課題に関する研究成果を発表する場としての役割を果たしてまいりました。この研究会の発足は、胆道閉鎖症の病型分類の作成のために故葛西森夫東北大学名誉教授の呼びかけによってもたれた会合に端を発します。第1回の研究会が1975年に開催され、2013年には第40回を迎えました。本研究会の目的は、胆道閉鎖症の病態、診断、治療に関する研究を推進し、その治療成績の向上に寄与することにあると謳われており、実際にこれまで数多くの研究者が互いの研究成果や経験を持ち寄って、議論を戦わせ、胆道閉鎖症の治療成績の向上のための努力を積み重ねてきました。
この研究会の事業としてもうひとつ特筆すべきものに胆道閉鎖症全国登録制度の実施があげられます。この制度は、胆道閉鎖症の疫学的調査、発生原因の解明、治療成績の向上、さらに長期間の経過観察と遠隔成績調査などを目的として、本研究会を母体として1989年に発足したものです。全国登録制度事務局は東北大学小児外科内に設置され、翌1990年に、日本小児外科学会の会員が所属している主な施設にアンケートが送付され、登録が開始されました。登録は、前年に経験された胆道閉鎖症症例を登録(初回登録)してもらい、同じ症例の経過を術後20年間にわたって追跡する(追跡登録)という計画で開始されました。1995年には、本登録制度に登録された症例で肝移植を施行した例を対象として肝移植登録が追加されました。その後成人期に達する例が増加するとともに、手術後きわめて長期間を経てからも患者さんに様々な問題が生じることが明らかとなってきたため、2000年に若干の登録項目の見直しが行われるとともに、術後追跡期間を30年に延長することが決められ、現在に至っております。
日本胆道閉鎖症研究会では、今後も胆道閉鎖症克服のための活動を行って参ります。
日本胆道閉鎖症研究会
事務局代表
仁尾正記